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【院長ブログ】「家族がB型インフルエンザに。私は仕事に行ってもいい?」〜濃厚接触者になったら〜

[2026.02.15]

厳しい寒さと暖かい日が交互に訪れていますが、体調など崩されていませんでしょうか。発熱外来ではB型インフルエンザウイルスがピークを迎え、「昨夜、小学生の娘がインフルエンザB型と診断されました。私は明日、重要な会議があるのですが、出勤しても大丈夫でしょうか?」こうしたご相談がきかれます。家族の誰かがインフルエンザにかかってしまったとき、看病の心配はもちろんですが、「自分は外に出てもいいのか?」「周りに移してしまうのではないか?」という社会的な責任感からくる不安も大きいものだと拝察します。今回は、インフルエンザウイルス感染症の「周囲の方々」に焦点をあててお話します。

愛媛県のインフルエンザ最新状況

愛媛県感染症情報センターが発表した最新データ(2026年第6週:2月2日〜8日)によると、県全体の定点当たり報告数は61.62人と、前週の35.35人から急増し、今シーズン最多を記録しています。特に中予保健所管内(松山市除く)では69.50人と、前週の31.25人から2.2倍以上に跳ね上がり、松山市保健所管内でも63.36人(前週41.27人)と高い水準が続いています。迅速検査で判明した症例のうち、実に91.4%がB型インフルエンザで、今の流行は「B型主体」であることが明確になっています。

このように、松山市周辺では今まさに爆発的な流行の最中にあり、そのほとんどが「B型」であることが特徴です。ご家庭内で感染者が出ることは、決して珍しいことではありません。だからこそ、正しい知識を持って、慌てずに行動することが大切です。

インフルエンザにおける濃厚接触者とは?

濃厚接触者」という言葉は、新型コロナウイルスの流行以降、私たちの生活に定着しました。しかし、インフルエンザにおける考え方は少し異なる部分もありますので、改めて整理しておきましょう。

インフルエンザにおける濃厚接触の目安

一般的に、インフルエンザを発症した人が感染させる可能性がある期間(発症前日から解熱後2日程度)に、以下のような接触があった方を指します。

  • 同居しているご家族
  • マスクなしで、1メートル以内の距離で15分以上会話をした方

ご家庭内で一緒に食事をしたり、リビングでくつろいだりしていれば、原則としてご家族全員が濃厚接触者に該当すると考えて良いでしょう。

「濃厚接触者」=「感染者」ではない

ここで一番大切なことは、「濃厚接触者であること」と「感染していること」はイコールではないということです。ウイルスに接触した可能性は高いですが、発症するかどうかは別問題です。

現在、季節性インフルエンザに関しては、濃厚接触者に対する法的な待機義務(外出自粛義務)はありません。ご自身に症状がなければ、基本的には社会活動(仕事や学校、買い物など)を止める必要はないとされています。ただし、これは「何をしても自由」という意味ではなく、周囲への配慮として慎重な行動が求められる期間であることには変わりありません。

インフルエンザB型の潜伏期間

インフルエンザB型の潜伏期間は、一般的に1〜4日(平均して2日程度)と言われています。ご家族が発症してからこの期間は、ご自身の体調に変化がないか、「様子を見る期間」となります。過度に恐れる必要はありませんが、少しの体調変化も見逃さないよう注意が必要です。

インフルエンザ感染におけるケース別対応ガイド

では、具体的なシチュエーションごとに、どう判断すればよいかを見ていきましょう。ご自身の状況に近い項目を参考にしてください。

ケース①:子どもが感染、親は出勤してもいい?

ご自身に症状がなければ、原則として出勤可能です。ただし、職場にウイルスを持ち込まないための配慮が不可欠です。以下の点に気をつけて出勤しましょう。

  • 不織布マスクの常時着用:会話をする際は特に徹底してください。
  • こまめな手洗い・手指消毒:共有の電話やドアノブを触る前後など。
  • 昼食は一人で:マスクを外す瞬間が最もリスクが高いです。同僚とのランチは控えましょう。
  • 体温測定:朝だけでなく、昼休みなどにも検温することをおすすめします。

また、職場環境によっては独自のルールが設けられている場合があります。特に高齢者施設や医療機関、食品を扱う職場などでは、厳格な対応が求められることがあります。迷った場合は、まず上司や職場に一本連絡を入れるのが安心です。テレワークが可能な環境であれば、この期間は積極的に活用することをお勧めします。

ケース②:家族が感染、子どもは学校へ行ける?

原則として登校可能です(ただし学校の方針を確認してください)。文部科学省や厚生労働省の見解では、同居家族がインフルエンザになっても、本人に症状がなければ出席停止の対象にはなりません。しかし、学校や園によっては「蔓延防止のため、兄弟姉妹も登校を控えてほしい」という独自のお願いをしているケースがあります。

登校させる場合は、以下の状態であることを確認してください。

  • 朝の体温が平熱である(37.5℃未満かつ普段と変わらない)
  • 咳、鼻水、のどの痛みがない
  • 食欲があり、顔色が良い
  • 「なんとなくしんどい」といった訴えがない

ケース③:高齢者・基礎疾患のある方・受験生がいる場合

家庭内での接触を極力減らし、より慎重な対応が必要です。ご家族の中に、重症化リスクのある方(高齢者、糖尿病や心臓病などの基礎疾患をお持ちの方)がいらっしゃる場合、あるいは大切な試験を控えた受験生がいらっしゃる場合は、対応のレベルを一段上げる必要があります。

このケースでは、単に「マスクをする」だけでなく、生活空間を分ける工夫が重要になります。可能な限り、リスクのある方と感染者の部屋を分け、食事や洗面所の時間をずらすなどの対策を徹底してください。また、後述する「予防内服」についても、医師と相談する価値が高いケースと言えます。

インフルエンザの予防内服について

外来でよく聞かれるのが「予防のためにインフルエンザウイルスの薬を飲めませんか?」というご質問です。これは抗インフルエンザ薬(タミフルイナビル、ゾフルーザなど)を、発症する前に服用する「予防内服(予防投与)」という方法です。

予防内服の効果と費用

予防内服を行うことで、発症リスクを70〜80%程度減らすことができると言われています。しかし、これにはメリットとデメリットの両面があります。

メリット ・発症を防げる可能性が高まる
・もし発症しても、症状が軽く済むことが多い
・大切な予定(受験や仕事)がある場合の安心材料になる
デメリット ・100%予防できるわけではない
・薬による副作用(吐き気や下痢など)のリスクがある
・原則として自費診療となり、費用がかかる(一部例外あり)

予防内服に関する当院の考え方

予防内服は、魔法の薬ではありません。当院では、患者さんごとの事情に合わせて、メリットとデメリットを公平にお伝えした上で、処方するかどうかを相談して決めています。

例えば、高齢者や重い持病がある方が同居している場合は、重症化を防ぐ意味で積極的に検討する価値があります。一方で、健康な若い方であれば、基本的な感染対策で様子を見るという選択も十分に合理的です。「絶対に飲まなければならない」ものでも、「飲んではいけない」ものでもありません。迷われている方は、診察時に遠慮なくご相談ください。

 

インフルエンザの症状が出た時の対応

対策をしていても、残念ながら感染してしまうことはあります。もしご自身に以下のような変化が現れたら、無理をせず「休む勇気」を持ってください。

  • 37.5℃以上の発熱(B型の場合、微熱で推移することもあります)
  • 寒気、悪寒
  • 全身のだるさ、関節痛
  • のどの痛み、咳
  • B型特有の症状:腹痛、下痢、吐き気などの消化器症状

特に今回の流行では、B型の特徴としてお腹の症状を訴える方が目立ちます。「熱はないけど、お腹の調子が悪くてだるい」といった場合も、インフルエンザの可能性があります。

病院を受診するタイミング

インフルエンザの検査は、発熱などの症状が出てから早すぎると正しい結果が出ないことがあります(偽陰性)。一般的には、発症から12時間〜48時間の間が検査に適したタイミングとされています。

熱が出たばかりですぐに検査!」と慌てて受診されるよりも、半日ほど自宅で安静にして様子を見てから受診される方が、確実な診断につながることが多いです。ただし、呼吸が苦しい、水分が取れないほど衰弱しているといった緊急性が高い場合は、時間を気にせずすぐにご連絡ください。

まとめ:インフルエンザへの冷静な判断と適切な行動

B型インフルエンザが猛威を振るっていますが、正しい知識を持ち、基本的な対策(手洗い、マスク、換気)を丁寧に行うことで、感染のリスクはコントロールできます。「家族が感染したらどうしよう」という不安は、誰もが抱えるものです。しかし、過度に恐れる必要はなく、ご自身の体調をしっかりと観察しながら、できる対策を一つずつ行っていきましょう。

 

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