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【院長ブログ】インフルエンザの後も要注意!感染性胃腸炎が流行しやすい3つの理由と二次感染を防ぐ方法

[2026.01.03]

新春の候、皆様あけましておめでとうございます。2026年の幕開けとともに、今年も皆様の健康をお守りできるよう、スタッフ一同気持ちを新たにしております。

さて、年末年始の帰省や集まりで人との接触が増えるこの時期、愛媛県内ではインフルエンザの定点報告数が46.70人と警報レベルにある一方で、感染性胃腸炎の患者数も定点6.35人(前週比+30.9%)と急増しています。

発熱外来でも、「やっとインフルエンザが治ったと思ったら、今度は子どもが嘔吐し始めて…」といったご相談を受けることがあります。「なぜ続けて病気にかかってしまうのか?」「ただの偶然なのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。

実は、この「インフルエンザの後に胃腸炎」という流れには、医学的な理由と環境的な要因が重なっています。今日は、なぜ冬に"感染症のリレー"が起きやすいのか、その理由とご家庭でできる具体的な対策についてお話しします。

インフルエンザの後に感染性胃腸炎が流行しやすい理由

「病み上がり」という言葉がありますが、これは単なる感覚的なものではなく、医学的にも根拠のある状態です。特に以下の3つの理由が、連続感染のリスクを高めています。

理由1:免疫力の低下と「免疫の隙間」

インフルエンザウイルスとの戦いで、私たちの体内にある免疫システムは総力を挙げて戦います。熱が下がった後には免疫システムは疲弊しており、一時的に防御力が下がった状態になります。特に発熱で体力を消耗し、食事が十分に取れていなかった場合、腸管のバリア機能も低下しています。高齢の方やパーキンソン病などの持病をお持ちの方は、若年層に比べて回復に時間がかかります。この回復期の2週間程度は、普段なら跳ね返せるようなウイルスにも感染しやすい「免疫の隙間」と言える時期なのです。

理由2:流行時期の重なりと気候特性

インフルエンザは例年11月から2月頃にピークを迎えますが、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎は12月から3月にかけて流行します。つまり、両者の流行期が完全に重なっているのです。

さらに、私たちの住む瀬戸内地域は瀬戸内気候のため、冬場に晴天が続き空気が乾燥しやすい特徴があります。低温で乾燥した環境は、どちらのウイルスにとっても活動しやすい好条件です。

理由3:看病による濃厚接触と環境汚染

これが最も見落とされがちなポイントです。家族の誰かがインフルエンザにかかると、看病のために家庭内での密接な接触が増えます。看病疲れで手洗いや消毒が少しおろそかになったタイミングで、外部から持ち込まれたノロウイルスなどの胃腸炎ウイルスが一気に広がることがあります。

感染性胃腸炎の基礎知識とインフルエンザとの見分け方

「お腹の風邪」とも呼ばれますが、原因となるウイルスは主にノロウイルス(全年齢)、ロタウイルス(乳幼児に多い)、アデノウイルスなどです。

インフルエンザと胃腸炎は症状が異なりますが、初期段階では判断に迷うこともあります。以下の比較表を参考にしてください。

特徴 インフルエンザ 感染性胃腸炎(ノロなど)
主な症状 高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛 突然の吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
発熱 38℃以上の高熱が出やすい 37〜38℃程度の微熱が多い(出ないことも)
呼吸器症状 咳、鼻水、喉の痛みが強い あまり見られない
潜伏期間 1〜3日 1〜2日(ノロウイルスの場合)

「インフルエンザ→胃腸炎」の連鎖を防ぐ対策とは

負の連鎖を断ち切るために、今日からできる3つの対策をご紹介します。

対策1:インフルエンザ回復期の過ごし方

「熱が下がった=完治」ではありません。解熱後2日間は、身体の修復期間だと考えてください。この時期に無理をして人混みに出たり、暴飲暴食をしたりすると、新たな感染症を招きやすくなります。食事では、免疫細胞の材料となるタンパク質と、粘膜を強くするビタミンCを意識しましょう。ビタミン補給としてのみかんも良いでしょう。

対策2:消毒方法を見直す

ノロウイルスには、一般的なアルコール消毒がほとんど効きません。家庭内で胃腸炎の症状(嘔吐や下痢)が出た場合、あるいは予防として消毒を行う場合は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)を使用してください。ドアノブ、トイレのレバー、リモコンなど、家族みんなが触る場所を重点的に拭き上げましょう。

対策3:食事・水分管理の徹底

冬場に美味しい生牡蠣などの二枚貝は、ノロウイルスの保有リスクがあります。体調が万全でない時は、中心部まで十分に加熱(85℃で90秒以上)してから食べるようにしましょう。

こんな症状があったらすぐに受診を

ご自宅で様子を見て良いのか、受診すべきか迷うこともあるかと思います。以下のチェックリストに当てはまる場合は、早めの受診をお勧めします。

受診の目安チェックリスト
水分が1日以上取れていない、または飲んでもすぐに吐いてしまう
おしっこの量が普段より明らかに少ない、色が濃い
激しい下痢や嘔吐が1日以上続いている
便に血が混じっている
意識がもうろうとしている、反応が鈍い
65歳以上の高齢者、または乳幼児である
基礎疾患(糖尿病、心臓病、神経疾患など)がある

まとめ:「予防の連鎖」で家族を守りましょう

冬の感染症は「かかったら治す」だけでなく、「次にかからないように防ぐ」ことも重要です。インフルエンザが治った直後は、どうしても気が緩みがちですが、そこがウイルスの狙い目でもあります。

手洗い、うがい、適切な栄養摂取。これらの当たり前の習慣を「予防の連鎖」として家族みんなで続けることが、感染の連鎖を断ち切る一番の近道です。

寒さはまだしばらく続きますが、皆様が健やかに冬を乗り越えられるよう、スタッフ一同お祈りしております。

 

【参考文献】
・愛媛県感染症情報センター 感染症発生動向調査(2025年第50週〜52週)
https://www.pref.ehime.jp/site/kanjyo/

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