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【院長ブログ】インフル×コロナにご用心〜同時流行に備える新しい3種のインフルワクチン〜

[2025.09.14]

朝夕が少し涼しくなり、秋の訪れを感じる季節となりました。今年は例年より早いインフルエンザの流行が全国各地で報告されており、当院にも患者さんやご家族からワクチン接種に関するお問い合わせを数多くいただいております。今回は、2025年シーズンのインフルエンザ対策として、新たな3種類のワクチンの特徴と、当院での今年のインフルエンザワクチン接種体制についてご案内いいたします。

※令和7年11月05日 ご指摘を頂きブログの誤りを修正しました。ありがとうございました。

 

全国で相次ぐインフル流行期入り:松山市でも散発的な流行

厚生労働省の最新報告(2025年第36週:9月1日〜9月7日)によると、全国各地で例年より2〜3ヶ月早いインフルエンザ流行期入りが相次いで確認されています。沖縄県では7月下旬から定点当たり報告数が1.0を超え、京都府では第36週に1.19となり流行期入りを宣言、福岡県でも8月末の時点で流行開始の目安を超えるという、異例の早期流行パターンが見られています。

愛媛県内においても、当院を受診される患者さんから「職場でインフルエンザが出た」「子どもの学校で学級閉鎖があった」といったご報告をいただくことが増えており、地域レベルでの感染拡大が懸念される状況です。この早期流行の背景には、昨シーズンの大流行後の免疫低下、新学期が始まり集団生活が増加したこと、残暑に伴うエアコン使用による密閉空間での長時間滞在などが関与していると考えられます。

さらに心配なのは、新型コロナウイルス感染症も8週連続で増加傾向にあることです。厚生労働省データでは、全国の定点当たり報告数は6.13人となっており、インフルエンザとの同時流行が現実的な脅威となっています。当院でも、発熱患者さんに対しては多項目同時検出PCR検査により、インフルエンザと新型コロナウイルスの診断を迅速に行う体制を整えております。

今年のインフルエンザワクチンは3種類:選択肢の多様化

2025/26シーズンの大きな変化として、日本で使用可能なインフルエンザワクチンが3種類に多様化されたことが挙げられます。これまで主に使用されてきた従来型の不活化ワクチンに加え、高用量ワクチンと経鼻ワクチンが新たに選択肢として加わり、患者さんの年齢や健康状態、希望に応じてより適切なワクチンを選択できるようになりました。

この多様化は、WHO(世界保健機関)のグローバルスタンダードに合わせた日本の取り組みでもあり、特に高齢者や免疫不全状態の方々に対するより効果的な予防策の提供を目的としています。当院では、患者さんお一人おひとりの状況を詳しくお聞きし、最も適したワクチンをご提案させていただきます。

 

不活化インフルエンザHAワクチン:4価から3価への変更

従来から使用されている不活化インフルエンザHAワクチンですが、2025/26シーズンから4価(4つの株を含む)から3価(3つの株を含む)への変更が行われました。これは世界的な疫学データに基づく科学的判断によるもので、近年検出例がほとんどないB型山形系統株が除外され、A型H1N1株、A型H3N2株、B型ビクトリア系統株の3株構成となります。

この変更により効果が低下するのではないかとご心配される方もいらっしゃいますが、実際にはより効率的なワクチン設計となっています。B型ビクトリア系統の検出は2020年3月以降世界的にほぼ認められておらず、現在流行している株に特化することで、より高い予防効果が期待できるとされています。

接種方法や安全性プロファイルは従来と変わらず、13歳以上の方は1回接種、12歳以下のお子さまは2回接種が推奨されます。副反応についても従来と同様で、接種部位の痛みや軽度の発熱などが主なものです。

高用量インフルエンザHAワクチン(エフルエルダ筋注):今年から本格導入来年開始予定

エフルエルダ筋注は2025/26シーズンは製薬会社さんの都合にて販売中止となりました。来年度2026/27シーズンから開始の予定で、開始時は当ブログでご案内いたします。

2024年12月27日に製造販売承認を取得し、2025年1月から保険収載された高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ筋注」が、今シーズンから本格的に使用可能となります。このワクチンは、従来の標準用量ワクチンと比較して4倍の抗原量(1株当たり60μgのHA抗原)を含有する、日本初の高用量インフルエンザワクチンです。

エフルエルダの最大の特徴は、65歳以上の高齢者における高い有効性です。加齢に伴う免疫機能の低下により、標準用量ワクチンでは十分な免疫応答が得られない場合がありますが、高用量ワクチンではより強固な免疫を獲得できることが海外の大規模臨床試験で証明されています。特に、インフルエンザ関連入院の減少効果が顕著に認められており、重症化予防という観点で非常に有用です。

対象は60歳以上の方で、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの基礎疾患をお持ちの方や、施設入所中の方に特に推奨されます。副反応については、標準用量ワクチンと比較してやや頻度が高くなる傾向がありますが、いずれも軽度から中等度で自然に軽快します。

経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト):痛みのない選択肢

昨年からフルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)の取り扱いを開始し、多くの患者さんから「痛みがなくて良かった」「子どもが嫌がらずに接種できた」と好評をいただいております。フルミストは、弱毒化した生きたインフルエンザウイルスを鼻腔内にスプレーするタイプのワクチンで、注射による痛みがないことが最大の特徴です。

フルミストの免疫学的な優位性は、自然感染と同様の経路で免疫応答を誘導することにあります。鼻腔粘膜で局所免疫(IgA抗体)と全身免疫(IgG抗体)の両方を効率的に誘導し、特に粘膜免疫は感染阻止効果が高いとされています。また、細胞性免疫も強く刺激するため、変異株に対してもある程度の交差防御効果が期待できます。

対象年齢は2歳から18歳までで、特に注射を怖がるお子さまや、針刺しリスクを避けたい場合に適しています。投与回数も1回で通院の負担も少なくなります。副反応として、接種後2〜8日に鼻水、鼻づまり、軽度の咳や咽頭痛が約30〜40%の方に現れることがありますが、これは正常な免疫応答の一部であり、自然に軽快します。ただし、重度の喘息をお持ちの方や免疫不全状態の方は接種対象外となりますので、事前の相談が必要です。

好ましい接種のタイミング:新型コロナワクチンとの同時接種も推奨

インフルエンザワクチンの最適な接種時期について、今年は特に10月中の接種を強く推奨いたします。ワクチン接種後、十分な免疫を獲得するまでに約2週間を要し、効果のピークは接種後1ヶ月頃、持続期間は不活化インフルエンザHAワクチンで約5ヶ月間とされています。例年より早い流行開始を考慮すると、11月中旬には十分な免疫を獲得している必要があり、逆算すると10月中の接種が理想的です。

さらに、新型コロナウイルスワクチンとの同時接種についても積極的にお勧めしています。インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同時接種は可能で、両方の感染症に対する予防効果を同時に獲得できる利点があります。当院では、左右の腕に分けて接種することで、副反応の局在化を図り、患者さんの負担軽減に努めています。

特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方、医療従事者、教育関係者の方々には、10月からの早期接種をお勧めします。

うめもとクリニックでの接種体制:3種類すべてに対応予定

うめもとクリニックでは、前述の3種類のワクチンすべてに対応予定です。10月1日から65歳以上の方のインフルエンザワクチン及びコロナワクチンの定期接種を開始いたします。自費での接種も準備でき次第開始予定です。受診時での直接予約のほか、電話でのご予約も承っております。

価格については、不活化インフルエンザHAワクチンは65歳以上の定期接種対象者の方は1500円です。それ以外の方の自費接種の不活化インフルエンザHAワクチンは3,300円(予定)しております。一方、高用量インフルエンザHAワクチン(エフルエルダ筋注)と経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)は自費接種となり、価格については供給状況を確認の上、後日ご案内させていただきます。価格が確定次第、当院ホームページおよび院内掲示でお知らせいたします。

接種をご希望の方は、事前にお電話またはご来院時にご相談ください。特に、基礎疾患をお持ちの方や服薬中の方は、お薬手帳をご持参をお願いします。また、フルミストをご希望の場合は、接種当日に鼻づまりや発熱がないことを確認させていただきますので、体調を整えてお越しください。

 

まとめ

全国各地での異例のインフルエンザ早期流行、新型コロナウイルス感染症との同時流行リスク、そして3種類のワクチンという新たな選択肢。これらの変化に適切に対応することが、今年の健康管理の鍵となるでしょう。従来の不活化ワクチン(3価)、高齢者向けの高用量ワクチン(エフルエルダ)、お子さまに優しい経鼻ワクチン(フルミスト)のいずれを選択されても、早期の免疫獲得が流行に備える最善策となります。ご予約・ご相談はお気軽にお声かけください。

 

引用文献
  1. 厚生労働省. インフルエンザの発生状況について(2025年第36週). 2025年9月12日.
  2. World Health Organization. Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2025-2026 northern hemisphere influenza season. WHO, 2025.
  3. 厚生労働省. 2025/26シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナウイルスワクチンの接種について. 2025年8月28日.
  4. 日本感染症学会. インフルエンザワクチン接種ガイドライン2025年版. 2025年.
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