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【院長ブログ】連休前にチェックしたい麻疹(はしか)の流行状況 〜地域の皆さまに知っておいていただきたい予防と受診の注意点〜

[2026.04.26]

松山も新緑がまぶしい季節となりました。ゴールデンウィークを目前に控え、旅行や帰省を予定されている方も多いのではないでしょうか。人の移動が増えるこの時期は、毎年さまざまな感染症が広がりやすくなります。

外来でも「ニュースで麻疹が流行していると聞いたのですが大丈夫でしょうか?」といったご相談が増えています。今回は、麻疹の最近の流行状況と、ワクチン・抗体検査・受診時の注意点について、当院の方針も含めてご説明します。

2026年の麻疹流行状況と報告数の推移

日本は麻疹の「排除状態」を維持していますが、2026年に入って国内の麻疹報告数が急増しています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の発表によると、2026年4月15日時点での累計報告数は299例に達し、前年同時期の約3.8倍となりました。

2020年から2024年まで年間50例を下回る水準で推移していたことを踏まえると、その増加ペースは際立っています。感染者の中心は15歳から49歳の活動世代であり、全体の約83%を占めています。

家庭、医療機関、学校、職場などでの感染も確認されており、とりわけゴールデンウィークのような長期休暇は人の移動が一気に増え、空港や観光地で感染して地元に戻ってから周囲に広げてしまう、というパターンに注意が必要です。

麻疹(はしか)とはどのような病気か

麻疹は麻疹ウイルスによる急性の全身感染症で、主な経路は空気感染です。手洗いやマスクだけでは感染を完全に防ぐことはできません。

潜伏期間は通常10日から12日程度で、初期は風邪に似た症状から始まり、一度熱が下がったあとに再び高熱が出て、全身に発疹が広がるのが特徴です。口の中に白い斑点(コプリック斑)がみられることもあります。

「子どもの軽い病気」と思われがちですが、肺炎、中耳炎、急性脳炎、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)といった合併症を起こすことがあり、とくに乳幼児、妊婦、免疫が低下している方では重症化に注意が必要です。特効薬がなく治療は対症療法が中心となるため、予防が何より重要です。

麻疹ワクチン2回接種完了の確認を

麻疹を予防するうえで最も有効な手段は、麻疹含有ワクチンを2回接種することです。1回の接種でも多くの人が免疫を獲得しますが、2回接種することでより確実な免疫を獲得し、周囲への感染拡大を防げます。麻疹は定期接種の対象でありMR(麻疹風疹混合)ワクチンを計2回、1歳(1期)と小学校入学前1年間(2期)に受けるのが原則ですが、2000年4月1日以前に生まれた方は、2回接種が完了していない可能性があるため注意が必要です。

定期接種のスケジュール

接種時期 対象者
第1期 1歳の1年間
第2期 小学校入学前の1年間

成人の方も、母子手帳などで接種歴を確認をお勧めします。母子手帳に「MRワクチン」「MMRワクチン」「麻しんワクチン」の記載があるかご確認ください。特に医療・教育関係者や海外渡航予定がある方は注意が必要です。

一般成人の方

一般成人の方では、麻疹含有ワクチンを2回接種していることが記録で確認できれば、原則として追加対応は不要です。ほかの医療機関などで抗体価が低いといわれた場合でも、2回接種歴が確認できていれば、追加接種は原則不要と考えています。逆に、1回接種のみ、あるいは接種歴が不明な場合は、MRワクチン接種を検討します。

医療従事者の方

医療従事者については、日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン第5版」を参考にしています。2回接種歴が記録で確認できる場合は、抗体価が低値でも原則として追加接種はガイドライン上必須ではありません。一方で、2回接種歴が確認できない場合は、不足している回数分を接種して完了とする考え方が基本です。職場によっては抗体価を再確認を求められることがありますので、職場の指示に従ってください。

患者さんにも医療従事者の方にも共通して大切なのは、抗体価の数値そのものより、麻疹含有ワクチンを2回接種した記録が確認できるかどうかです。母子手帳や接種記録を見直し、判断に迷う場合はご相談ください。

抗体測定の考え方

接種歴や既往がはっきりしない方、医療・介護・保育・教育関係の方、妊娠を希望している方、海外渡航前の方などでは、免疫の有無を確認するために血液で麻疹の抗体価を調べることがあります(免疫確認を目的とした麻疹抗体検査は自費診療となります)。ただし、この検査は「今どれくらい免疫があるか」をみるためのもので、一般成人では「抗体価がこの数値未満なら必ず接種」といった明確な公的基準は乏しく、低い抗体価だけを根拠に判断するより、2回接種歴の確認を重視するのが実際的です。

なお、すでに発熱や発疹などの症状があり麻疹が疑われる場合は、通常の抗体検査とは異なる対応が必要となります。

 

発熱や発疹がある場合の受診手順

発熱後に発疹が出現した場合や、麻疹患者との接触歴、麻疹流行地域への移動歴がある場合は、直接来院せず、必ず事前にお電話ください。電話で症状と麻疹が心配であることをお伝えいただいたうえで、指示に従ってご来院ください。

うめもとクリニックでは、院内感染を防ぐため、事前電話で症状や接触歴、渡航歴などを確認したうえで来院時間を調整し、必要に応じて車内待機など通常待合室を避けた動線案内を行っています。できるだけほかの患者さんとの接触を減らせるよう配慮して対応しますのでご協力をお願いします。。

さらに、必要に応じて松山市保健所へ相談し、連携しながら検査対応を進めます。麻疹は感染症法上の5類感染症(全数把握疾患)であり、臨床診断例を含め速やかに届出が医療機関に義務づけられています。診断にはPCR検査が有用とされており、必要に応じて咽頭ぬぐい液、血液、尿などの検体を保健所が主体となって行います。

麻疹が疑われる時は以下のステップに沿って対応をお願いします。

  1. 医療機関へ電話連絡
    まずはお電話いただき、症状や麻疹患者との接触歴、流行地域への移動歴などをお伝えください。
  2. 来院方法と待機場所の確認
    公共交通機関の利用を避け、指定された時間にご来院頂き、到着後病院にご連絡ください。車内待機をお願い申し上げます。
  3. 診察と保健所への連携
    強く疑う時や臨床診断時には保健所へ速やかに届出を行い、指示に従って検査を実施します。

まとめ

麻疹は感染力が強く重症化することもありますが、ワクチンで予防できる病気です。まずは母子手帳で接種歴を確認し、2回接種しているか見直してみてください。発熱・発疹がある場合は直接来院せず、必ず事前にお電話ください。麻疹が心配な方、接種歴が不明な方、抗体検査をご希望の方は、うめもとクリニックまで事前にお問い合わせください。

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