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【院長ブログ】鎮痛剤が手放せない「頭痛」にお悩みの方へ 〜新年度のストレスと片頭痛に対する専門的なアプローチ〜

[2026.03.15]

三寒四温の言葉通り、寒暖の差を感じながらも、日増しに春の訪れを感じる季節となりました。愛媛県松山市でも、梅の花がほころび始め、少しずつ新緑の芽吹きが感じられるようになってまいりました。

3月から4月にかけては、ご自身やご家族の卒業、入学、就職、あるいは職場での異動など、生活環境が大きく変わる時期でもあります。新しい生活への期待に胸を膨らませる一方で、知らず知らずのうちに心身には大きな負荷がかかっているものです。

診察室でもこの時期、「最近忙しくて頭痛がひどいんです。市販の痛み止めを毎日飲んで、なんとか仕事をこなしているんですが、薬が効かなくなってきて……」というような相談を受けることが増えてきます。今回は、新年度のストレスや季節の変わり目に悪化しやすい頭痛について、脳神経内科医の視点から、正しい知識と対処法をお話ししたいと思います。

春の新生活や季節の変わり目に頭痛が悪化する原因

頭痛は大きく分けて、脳の病気などが原因ではない一次性頭痛と、くも膜下出血や脳腫瘍などの病気が原因で起こる二次性頭痛に分類されます。私たちが日常的に経験する頭痛の多くは、片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛です。

では、なぜこの時期に頭痛が悪化しやすいのでしょうか。まず挙げられるのは、環境変化によるストレスです。新しい人間関係や業務内容の変化は、精神的な緊張状態を引き起こします。自律神経のバランスが乱れることで血管の収縮・拡張のリズムが崩れ、これが片頭痛の誘引となるのです。また、緊張が続くと肩や首の筋肉がこわばり、血流が悪くなることで緊張型頭痛も引き起こしやすくなります。

さらに見逃せないのが、春の気圧変化です。春は移動性高気圧と低気圧が交互に日本列島を通過するため、短期間で気圧が大きく変動します。気圧が下がると、人間の体は微妙にむくみやすくなり、脳の血管も拡張傾向になります。これが神経を刺激し、頭痛を引き起こす引き金となるのです。気象病とも呼ばれるこの現象は、決して気のせいではありません。

あなたの頭痛はどのタイプ?代表的な一次性頭痛の特徴

適切な治療を行うためには、ご自身の頭痛がどのタイプなのかを正しく知ることが第一歩です。代表的な3つのタイプをまとめました。

頭痛のタイプ 主な特徴と症状
片頭痛 ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴で、吐き気を伴ったり、光や音に敏感になったりします。体を動かすと痛みが強くなるため、暗い静かな部屋でじっとしていたくなるのが典型的です。
緊張型頭痛 頭全体がギューッと締め付けられるような痛みが特徴です。首や肩のコリが主な原因で、お風呂で温めることや運動で楽になることが多いです。
群発頭痛 ある一定の期間に、目の奥をえぐられるような強烈な痛みが毎日起こります。目の充血や涙、鼻水を伴うことがあり、男性に多く見られる傾向があります。

これらは明確に分かれることもあれば、片頭痛と緊張型頭痛の両方を持っている混合型の方も少なくありません。ご自身で判断するのは難しい場合も多いため、専門医による正確な診断を受けることが重要になります。

鎮痛剤の飲み過ぎに注意「薬物乱用頭痛(MOH)」

私が今回、最も警鐘を鳴らしたいのが薬物乱用頭痛(Medication Overuse Headache: MOH)です。忙しい毎日を送る中で、頭痛が起きるとすぐに市販の鎮痛剤を飲んでしまう。そして、薬が切れるとまた頭が痛くなるので、さらに薬を飲む。この繰り返しにより、脳が痛みに過敏になり、かえって頭痛の回数が増えたり、薬が効きにくくなったりする状態を指します。

具体的な目安として、月に10日以上鎮痛剤を使用している場合は、薬物乱用頭痛の可能性が高いと考えられます。「薬を飲んで治している」つもりでも、実は薬のせいで頭痛が起きているという悪循環に陥っているのです。専門的な治療に切り替え、適切な予防薬を導入することで、鎮痛剤をほとんど使わずに過ごせるようになるケースも多々あります。

医療機関で受けられる最新の頭痛治療と生活習慣の改善

頭痛医療は日々進歩しています。頭痛持ちだから仕方ないと諦める時代ではありません。片頭痛の発作が起きた時には、一般的な鎮痛剤ではなく、血管の拡張を抑えるトリプタン製剤ジダン系製剤が急性期治療薬として使われます。飲むタイミングや種類を調整することで、劇的に生活の質を改善することができます。

また、最近ではCGRP関連抗体薬という新しいタイプの予防薬も登場しました。これは片頭痛の発生に関わる物質の働きをブロックする注射薬で、従来の飲み薬で効果が不十分だった方にも高い効果が期待されています。月に1回程度の注射で、頭痛の回数を大幅に減らすことが可能です。また最近は、1日1回または2日に1回の服用で予防する経口薬も使用できるようになっています。

もちろん薬だけでなく、生活指導も重要です。睡眠不足や寝すぎ、空腹、特定の食品が頭痛の引き金になることがあります。ご自身のトリガーを知り、うまくコントロールしていくことも治療の大切な一環です。

早期受診が必要な「危険な頭痛」のチェックリスト

多くの頭痛は命に関わるものではありませんが、中には重大な病気のサインが隠れていることがあります。以下の項目に当てはまる方は、我慢せずに早めに受診してください。

特に突然の激しい頭痛や手足の麻痺を伴う場合は、くも膜下出血や脳卒中の可能性がありますので、ためらわずに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。

 

うめもとクリニックによる頭痛診療のステップ

当院では、脳神経内科医が患者様お一人お一人の頭痛と向き合い、包括的なアプローチで解決を目指します。

  1. 丁寧な問診と診断
    痛みの性質や頻度、生活背景を詳しく伺い、頭痛のタイプを正しく見極めます。
  2. 精密検査による原因の特定
    必要に応じてMRI検査などができる提携医療機関と連携し、重篤な病気が隠れていないか除外診断を確実に行います。
  3. 個別化された治療計画の提案
    急性期治療薬や予防薬の処方、漢方薬の活用、頭痛ダイアリーによる可視化など、最適な治療を組み合わせて提供します。

快適な新生活のために頭痛をコントロールしましょう

新年度は希望の季節であると同時に、心身に負担のかかりやすい時期でもあります。たかが頭痛、されど頭痛です。痛み止めでごまかしながら日々を過ごすことは、かえって症状を複雑化させるリスクがあります。

頭痛がない生活を取り戻すことは、仕事のパフォーマンスを上げ、プライベートを心から楽しむことにつながります。もし、繰り返す頭痛や鎮痛剤の飲みすぎでお悩みでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。頭痛をもつ皆様が、この春を笑顔で過ごせるようサポートさせていただきます。

 

参考文献
  • 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳『国際頭痛分類 第3版』医学書院
  • 日本神経学会・日本頭痛学会 監修『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』医学書院
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