【院長ブログ】2025/26年のコロナワクチン~接種は10月がお勧め~
朝夕の冷え込みが感じられる季節となりました。最近、患者さんやご家族から「今年もコロナワクチンは打った方が良いのでしょうか」「何が変わったのでしょうか」といったご質問を多くいただいております。
2024年から新型コロナワクチンが定期接種に位置づけられ、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は公費の補助を用いての接種が可能となっています。新型コロナウイルス感染症がインフルエンザと同様に、継続的な予防対策が必要な感染症と位置づけられたことを意味します。今回は新型コロナワクチンの最新の科学的データに基づいた情報をお伝えします。
コロナワクチン有効性は?
2025年の最新研究データによると、現在使用されているコロナワクチンの有効性は、52.5%の発症予防効果が示されており、これは「ワクチンを接種した高齢者は、接種しなかった場合と比べて、コロナに感染する確率が約半分になる」ことを意味します。一見すると100%でないことを不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、感染症のワクチンとしては十分に高い効果と言えます。
さらに重要なのは入院予防効果で、60歳以上では63.2%の入院予防効果が確認されています。つまり、万が一感染したとしても、入院が必要になるほど重症化するリスクを3分の1以下に減らすことができるのです。これは、ご本人の健康はもちろん、ご家族の負担軽減という観点からも非常に意義深い効果と言えるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の死亡率の現状
新型コロナウイルス感染症による死亡者数のデータを見ると、日本では2022年以降、毎年3万人台後半の方がCOVID-19で命を落としており、その約97%が65歳以上の高齢者です。
この数字をインフルエンザと比較すると、COVID-19による死亡者数は圧倒的に多いことが分かります。「コロナも風邪のようなもの」と考える方もいらっしゃいますが、実際の死亡者数を見る限り、依然として警戒が必要な感染症であることは明らかです。
一方で、希望的な変化もあります。高齢者のCOVID-19重症化率は、パンデミック初期と比べて確実に低下しており、現在ではインフルエンザと同等かやや高い程度まで改善しています。これは、ワクチン接種の普及、治療薬の開発、医療現場での経験蓄積などが総合的に寄与した結果と考えられます。
やはり高齢者にとってはリスクの高い感染症であることに変わりはありません。特に糖尿病、高血圧、心疾患などの基礎疾患をお持ちの方は、より一層の注意が必要です。
感染後のワクチン効果と適切な接種タイミング
「以前コロナに感染したから、もうワクチンは必要ないのでは?」というご質問をよくいただきます。しかし、感染による免疫も永続的ではないことが明らかになっています。
感染後の免疫効果について詳しく見てみると、感染から6か月が経過すると再感染のリスクが徐々に上昇し始め、1年後にはその予防効果はほぼ消失してしまいます。これは、私たちの免疫システムが時間とともに弱くなることと、ウイルス自体が変異を続けていることの両方が影響していると考えられています。
そのため、感染から3か月以上が経過していれば、ワクチン接種を受けることが勧められています。この「3か月」という期間は、感染による急性期の免疫反応が落ち着き、追加の免疫刺激(ワクチン接種)を安全に行える時期として設定されています。
接種のタイミングについては、前回のブログでお伝えした通り、今年はインフルエンザワクチンとの同時接種、10月末までに済ませることをお勧めしています。これは、両方の感染症が9月以降増加しており、今後流行のピークを迎えることが予想され、早めの接種により冬の流行期に十分な免疫を獲得することが望ましいと考えているためです。
2025/26年シーズンのワクチン種類と特徴
今シーズンは、これまでで最も多様なコロナワクチンが使用可能となっています。それぞれのワクチンには独自の特徴があり、以下の表にまとめます。
| 製品名 | 製薬会社 | 種類 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| コミナティ® | ファイザー | mRNAワクチン | 従来型、豊富な使用実績 |
| スパイクバックス® | モデルナ | mRNAワクチン | 従来型、高い免疫応答 |
| ヌバキソビッド® | 武田薬品 | 組換え蛋白ワクチン | 不活化ワクチン、従来型と同等の有効性 |
| ダイチロナ® | 第一三共 | mRNAワクチン | 純国産、XEC株対応 |
| コスタイベ® | Meiji Seikaファルマ | 自己増殖型mRNAワクチン | 12か月以上の持続性 |
最も使用実績の豊富なワクチンは「コミナティ®」(ファイザー製)です。は世界中で数十億回の接種が行われており、その安全性と有効性について最も多くのデータが蓄積されています。mRNA技術を用いた従来型ワクチンとして、幅広い年齢層で安定した免疫応答が確認されており、多くの医療機関で第一選択として使用されています。
ヌバキソビッド®は、mRNAワクチンに不安を感じる方にとって良い選択肢となります。これは従来の不活化ワクチンと同じ仕組みで、長年使われてきたワクチン技術を基にしているため、多くの方にとって馴染みやすいワクチンと言えるでしょう。
副作用と安全性~科学的データに基づく正確な理解を~
コロナワクチンの安全性について心配される方は多く、ご質問をよくいただきます。この点について、国内外の複数の大規模研究で得られた科学的データをもとにお答えします。
結論から申し上げると、コロナワクチン接種後の死亡リスク増加は確認されていません。これは日本国内だけでなく、世界各国で実施された数億人規模の追跡調査でも一貫して示されています。ワクチン接種後に体調を崩される方や、まれに亡くなる方がいらっしゃることは事実ですが、統計学的な解析では、これらがワクチンによるものである可能性は極めて低いとされています。
一般的な副作用としては、接種部位の痛み、軽度の発熱、倦怠感などがありますが、これらは免疫システムが正常に働いている証拠でもあり、通常は数日以内に自然に改善します。重篤な副作用の発生頻度は極めて低く、新型コロナウイルス感染症による健康被害のリスクと比較すると、ワクチン接種の利益の方がはるかに大きいというのが現在の医学的コンセンサスです。
ただし、ワクチンは万能ではありません。接種を受けても感染を完全に防ぐことはできないため、引き続き基本的な感染対策(適切な場面でのマスク着用、こまめな換気、手洗い)を続けることが重要です。
まとめ
2025/26年のコロナワクチンは、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方にとって重要な健康管理手段です。インフルエンザワクチンとの同時接種により、冬の感染症シーズンに向けた万全の備えを整えることができます。ご不明な点やご心配なことがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
引用文献
- 厚生労働省. 新型コロナワクチンについて. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
- 日本感染症学会. COVID-19ワクチンに関する提言. 2025年版
- Andrews N, et al. Effectiveness of COVID-19 vaccines against the Omicron (B.1.1.529) variant of concern. New England Journal of Medicine. 2025;388:1532-1546
- 厚生労働省人口動態統計. 令和6年度COVID-19関連死亡統計
- 国立感染症研究所. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報. https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
- Feikin DR, et al. Duration of effectiveness of vaccines against SARS-CoV-2 infection and COVID-19 disease: results of a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2025;399:924-944
