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【院長ブログ】4月から肺炎球菌ワクチンが変わります

[2026.03.22]

春の気配を感じる季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。最近、クリニックの診察室でよく耳にする質問があります。「先生、役所からハガキが届いたんですが、3月と4月でワクチンが違うんですか」。自治体から届く肺炎球菌ワクチンの案内ハガキが手元に届いたものの、「どっちを打てばよいかわからない」「自分は元気だから必要ないのでは?」と迷われている方も多いのではないでしょうか。

実は、この肺炎球菌ワクチン、「ただハガキが来たから打つ」だけでは損をしてしまう可能性があるのです。今回は、脳神経内科専門医の立場から、皆さんの健康とメリットを最大化するための賢いワクチンの選び方を解説します。

肺炎球菌ワクチンのハガキが届いた方へ

お手元に届いたハガキは定期接種(費用助成が受けられる接種)の案内です。2026年4月から定期接種で使用されるワクチンが新しくなります

これまで、高齢者の定期接種で使われていたワクチンは主にニューモバックスNP(23価ワクチン)でした。しかし、2025年4月からは、より免疫効果が長続きするプレベナー20(20価ワクチン)も定期接種の対象となりました。実はこれは非常に大きな変更で、「今までと同じでいいや」と考えていると、最新の医学的知見に基づいたより効果的な予防のチャンスを逃してしまうかもしれません。

「自分は元気だから」は危険?

「私は風邪もひかないし、肺炎になったことないし大丈夫」そうおっしゃる患者様は多いですが、肺炎は現在、日本人の死因の第5位です。決して他人事ではありません。実は、高齢者の肺炎の約70%以上が、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことで起こる誤嚥性肺炎だと言われています。この「誤嚥」の背後に隠れた脳の病気が潜んでいる可能性があるのです。下記のようなサインに心当たりはありませんか?

  • お茶や汁物でよくムセる
  • 声が小さくなった、または、かすれる
  • 食事に時間がかかるようになった

これらは単なる老化現象ではなく、隠れ脳梗塞やパーキンソン病などの初期症状として現れている嚥下機能低下のサインかもしれません。脳の病気により喉の神経の動きが鈍くなると、本人が気づかないうちに唾液を誤嚥し、夜間に肺炎を発症することがあるのです。

最適な肺炎球菌ワクチンの選び方

現在、主に検討すべきワクチンは3種類あります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

ワクチン名 種類・特徴 費用・制度 おすすめの対象
ニューモバックスNP
(PPSV23・23価)
多糖体ワクチン。23種類の菌の型をカバーする広さが強み。ただし免疫記憶が残りにくく、効果は5〜7年程度で低下するとされる。接種後の局所反応(腫れ・痛み)が出やすい点も特徴。 定期接種
(〜2026年3月)
4000円
これまで主流だったが、今後はプレベナー20へ移行。
プレベナー20
(PCV20・20価)
結合型ワクチン。タンパク質と結合させることで免疫細胞が記憶しやすくなり、より強く・長持ちする免疫が得られる。1回接種で効果が期待できる。

定期接種
(2025年4月〜)
5500円

費用を抑えつつ、しっかり長期予防したい多くの方に。
キャップバックス
(PCV21・21価)
最新の結合型ワクチン。プレベナー20の20種類に加え、成人の重症化に関わりやすい型を1種類追加した計21価。特に肺炎・菌血症の原因として頻度が高い血清型をより広くカバーしており、1回接種で効果が期待できる。 任意接種
(全額自費)
16500円
持病がある方、誤嚥リスクが高い方、最高レベルの予防を望む方に。

費用を抑えて確実な効果を:4月からのプレベナー20

2025年4月から定期接種のラインナップに加わったプレベナー20は、従来のワクチンに比べて免疫記憶を作る力が強く、一度打てば長期間の効果が期待できます。自治体の助成を使えば、自己負担5,500円(松山市の場合)で接種可能です。コストパフォーマンスと効果のバランスが最も良い選択肢と言えるでしょう。

自費でも最高レベルの予防を:最新ワクチン キャップバックス

「お金がかかってもいいから、とにかく一番良いものを打ちたい」という方には、MSD社から発売された最新のキャップバックスをおすすめします。このワクチンは、大人の肺炎の原因となりやすい菌の型をピンポイントで狙い撃ちするように設計されており、従来のワクチンではカバーしきれなかった型も網羅しています。

自費診療(16,500円)となりますが、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患(COPDなど)をお持ちの方や、脳梗塞の後遺症などで飲み込みに不安がある方には、強く推奨される選択肢です。

まとめ:正しい知識で自分に合った予防を

肺炎球菌ワクチンは「とりあえず打てばいい」ものではありません。ワクチンの種類・過去の接種歴・今の体の状態によってあなたにとっての最善が決まります。また元気そうに見えても嚥下機能は静かに低下していることも多いため、飲み込みが変だなと思ったら、お気軽にご相談ください。ワクチンは、「正しいものを、正しいタイミングで」打つことが大切です。肺炎球菌ワクチンについてご不明な点がありましたら、お問い合わせください。

 

参考文献
  1. 厚生労働省「定期接種実施要領」(2025年度改訂版)
  2. 日本感染症学会・日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」
  3. Bonten MJ, et al. Polysaccharide conjugate vaccine against pneumococcal pneumonia in adults. N Engl J Med. 2015
  4. 国立感染症研究所「高齢者肺炎球菌感染症に関するファクトシート」
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