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院長ブログ:【愛媛県で急増中】百日咳の最新情報と対策

[2025.04.13]

愛媛県内で百日咳の感染者数が急増しています。4月6日時点で今年の感染者数は130人に達し、すでに去年1年間の感染者数を上回る状況です。特に松山市を含む中予地域での感染が多く確認されています。今回は百日咳の症状や予防法、最新の検査方法についてご紹介します。

 

百日咳とは?症状や経過を詳しく解説

百日咳は「百日咳菌」という細菌による急性の気道感染症です。名前の通り、長期間(約100日)続く咳が特徴的です。主に子どもがかかりやすい病気ですが、大人も感染することがあります。

百日咳の経過は通常3つの段階に分かれます。最初は風邪のような症状(鼻水、軽い咳、微熱など)で始まる「カタル期」が約2週間続きます。次に徐々に咳が激しくなり、顔を真っ赤にしてコンコンと激しくせき込み、息を吸うときに「ヒュー」という音が出る「発作性けいれん性の咳」が特徴の「痙咳期」が2~3週間続きます。その後、徐々に症状が治まる「回復期」に入りますが、これも2~3週間ほど続きます。

特に注意が必要なのは乳児の場合です。乳児が百日咳に感染すると、典型的な咳の症状が出ないこともあり、息を止めているような無呼吸発作やチアノーゼ(唇や手足の爪が紫色になる)、けいれんなどの症状が現れることがあります。重症化すると肺炎や脳症を引き起こす可能性もあるため、特に注意が必要です。

 

愛媛県・松山市で急増!百日咳の最新感染状況

愛媛県の百日咳の感染者は2025年4月6日時点で今年すでに130人確認されています。これは2018年に調査が始まって以来、同じ時期としては最多の数字です。去年1年間の感染者数129人をすでに上回っている状況です。

地域別に見ると、中予保健所管内が最も多く36人、松山市が16人となっています。その他、西条市で5人、八幡浜市で3人が確認されています。感染者の年齢層では5~14歳の子どもが全体の86.9%を占めており、学齢期の子どもを中心に感染が広がっています。

3月17日から4月6日の間だけでも60人の感染が確認されており、感染拡大が続いている状況です。愛媛県は学校の集団生活などを通じた感染の広がりを防ぐため、咳が長く続く場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。

 

百日咳の予防法と注意点

百日咳の予防接種は、日本では定期予防接種に含まれており、乳児期に4種混合ワクチンを全部4回接種します。ただし、百日咳ワクチンの効果は時間とともに減弱するため、成人も含めて追加接種(ブースター接種)が推奨されることがあります。特に、新生児や乳児と接触する可能性のある大人は、追加接種を検討する価値があります。

日常生活での予防策としては、マスクの着用など咳エチケットの徹底、こまめな手洗いや手指のアルコール消毒、人込みや感染者との接触を避けること、室内の換気を定期的に行うことなどが重要です。

特に、家庭内に乳児がいる場合は、家族全員が感染予防に努めることが大切です。家族の誰かが長引く咳の症状を示した場合は、早めに医療機関を受診し、百日咳の可能性を確認することをお勧めします。

 

百日咳を検査方法

百日咳の早期発見は、重症化の予防や感染拡大の防止に重要です。従来は症状からの診断や培養検査などが行われてきましたが、これらの方法では診断までに時間がかかったり、感染初期には検出が難しかったりする問題がありました。

近年、医療技術の進歩により、より迅速かつ正確に百日咳を含む複数の感染症を同時に診断できる「多項目同時PCR検査」が普及してきています。当院でも、患者さんの診断精度向上と負担軽減を目指し、最新の多項目同時PCR検査機器を導入しています。

この検査は、鼻咽頭ぬぐい液(鼻から綿棒を入れて採取する検体)を用いて、わずか15~20分程度で結果が判明します。1回の検査で、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどのウイルスに加え、百日咳菌、マイコプラズマなどの細菌も含む、15種類もの呼吸器感染症の病原体を同時に検出することができます。

特に百日咳は従来の検査方法では診断が難しいケースがありましたが、この検査では高い精度で検出が可能です。また、発症初期の段階でも検出できるため、早期診断・早期治療につながります。


百日咳にかかったら?治療法と家庭での対応

百日咳と診断された場合、主な治療は抗菌薬の投与です。一般的にはマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が処方されます。抗菌薬治療は病気の進行を抑え、症状を軽減する効果がありますが、特に発症から早い段階(カタル期)での治療開始が効果的です。

百日咳にかかった場合の家庭での対応として、十分な休息と水分摂取を心がける、部屋の湿度を適切に保ち乾燥を防ぐ、刺激物(タバコの煙、強い香り)を避ける、就寝時は頭を少し高くして寝るなどの工夫が効果的です。

また、家族内での二次感染を防ぐため、患者の使用したタオルや食器の分離、こまめな手洗い、マスク着用などの対策も重要です。特に家庭内に免疫力の低い乳児や高齢者、基礎疾患のある方がいる場合は、感染対策を徹底しましょう。

学校や保育園への登校・登園については、地域や施設によって対応が異なる場合がありますが、一般的には抗菌薬の服用を開始してから5日間は出席を控えるよう指導されることが多いです。医師の指示に従い、周囲への感染拡大を防ぐことが大切です。

まとめ

愛媛県、特に松山市を含む中予地域では現在、百日咳の感染が急増しており、特に5~14歳の子どもを中心に広がっており、長期間続く特徴的な咳が主な症状です。症状が現れた場合は、早期診断・早期治療が重要となります。長引く咳の症状がある場合は、早めにご相談ください。何か気になることがありましたら、いつでもご相談ください

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