メニュー

院長ブログ:コロナ後の頭痛?片頭痛?それとも?

[2024.10.06]

こんにちは。朝晩の気温の変化は大きくなってきましたが、体調などおかわりないでしょうか?クリニックでは新型コロナウイルス感染症罹患後の後遺症で受診される方が増えています。今回は特に新型コロナウイルス感染症後の頭痛についてお話しします。

 

「この頭痛」、もしかしてコロナ後遺症?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、多くの方が1〜2週間程度で回復しますが、一部の方々は「ロングコビッド」と呼ばれる様々な後遺症に悩まされることがあります。その中でも頭痛は、よく見られる症状の一つです。コロナ感染時の急性期には約半数の人が頭痛を発症し、約4人に1人は最初に現れた症状が頭痛だったという報告もあり、感染後の頭痛に悩まれる方が少なくないのが現状です。

 

「頭が重い」人は要注意!高リスク者の特徴

新型コロナウイルス感染症罹患後の頭痛リスクが高い人には、いくつかの特徴があります。

  • 40歳代前半の女性
  • もともと片頭痛の既往がある人
  • 感染時に発熱、嚥下痛、胸郭痛、筋肉痛、嗅覚障害を伴った人

特に、片頭痛の既往がある方は、コロナ感染中に頭痛が起こる確率が5倍以上高いという報告があります。また、片頭痛を経験している多くの方が「いつもの片頭痛とは全く違う頭痛であった」と回答しています。

 

「いつもの頭痛」とは違う?片頭痛や新規発症連日性頭痛との関連

コロナ後の頭痛は、従来の片頭痛や他の頭痛とは異なる特徴を持つことがあります。

片頭痛との違い
  • 持続時間:片頭痛が基盤にない方は数分〜6時間以内、片頭痛が基盤にある方は6〜24時間と異なります
  • 部位:両側性が86.9%と多く、前頭部か頭全体が痛む傾向があります
  • 性状:非拍動性(ズキズキしない)が85%以上で、吐き気もないことが多いです
新規発症連日性頭痛との類似点

コロナ後の頭痛は、新規発症連日性頭痛(NDPH)と似た特徴を持つことがあります。NDPHは、それまで頭痛持ちでなかった人が突然毎日頭痛に悩まされるようになる状態です。コロナ後の頭痛も、同様のパターンを示すことがあります。

 

「頭が痛い」だけじゃない?診断や検査のポイント

コロナ後の頭痛の診断は、主に症状の経過や特徴、他の症状の有無などから総合的に判断されます。

主な診断ポイント
  • コロナ感染歴の確認
  • 頭痛の特徴(部位、性状、持続時間など)の詳細な聴取
  • 他の症状(倦怠感、嗅覚障害、味覚障害など)の有無
  • 既往歴(特に片頭痛の有無)の確認
必要に応じて行われる検査
  • 血液検査:炎症マーカーや凝固系の異常をチェック
  • 画像検査:MRIやCTで器質的疾患を除外
  • 神経学的検査:中枢神経系の異常を評価

ただし、コロナ後の頭痛は他の疾患による症状ではないことを確認する除外診断が重要となるため、まずはかかりつけ医等や脳神経内科に相談することが大切です。

 

「予防」が大切!コロナ後の頭痛を防ぐコツ

コロナ後の頭痛を完全に予防することは難しいですが、リスクを軽減するための方法はあります。

1. ワクチン接種を検討する

ワクチン接種により、重症化リスクが低下し、結果として後遺症のリスクも減少する可能性があります。

2. 感染予防対策を徹底する

マスク着用、手洗い、三密回避などの基本的な感染予防対策を継続することで、感染リスクを下げることができます。

3. 健康的な生活習慣を維持する
  • 十分な睡眠
  • バランスの取れた食事
  • 適度な運動
  • ストレス管理

これらの習慣は、免疫力を高め、感染後の回復力を向上させる可能性があります。

4. 既存の頭痛持ちの方は管理を徹底する

片頭痛などの既存の頭痛がある方は、日頃から適切な管理を行うことで、コロナ感染時や感染後の頭痛リスクを軽減できる可能性があります。

 

「これって大丈夫?」受診の目安

コロナ後の頭痛で医療機関を受診すべき目安として、以下のような症状がある場合は要注意です。

  • 頭痛が2週間以上持続する
  • 通常の鎮痛薬で改善しない
  • 日常生活に支障をきたすほどの強い痛み
  • 頭痛に加えて、発熱、意識障害、麻痺などの神経症状がある
  • いつもの頭痛とは明らかに異なる性質の痛み

これらの症状がある場合は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医の診察を受けることをおすすめします。

 

「痛み」との付き合い方:治療のアプローチ

コロナ後の頭痛の治療は、症状に応じた対症療法が基本となります。現時点では確立された特効薬はありませんが、以下のようなアプローチが取られます。

1. 薬物療法
  • 一般的な鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs)
  • 必要に応じて、片頭痛治療薬(トリプタン系薬剤など)
  • 抗うつ薬や抗てんかん薬(神経痛様の痛みに対して)
2. 非薬物療法
  • リラクセーション技法(深呼吸、瞑想など)
  • 適度な運動療法
  • 認知行動療法
  • 鍼灸やマッサージなどの代替療法
3. 生活習慣の改善
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理
  • バランスの取れた食事
  • 水分摂取の増加
4. 専門医による総合的なアプローチ

難治性の場合は、神経内科や頭痛専門医による多角的な評価と治療が必要になることがあります。治療には時間がかかることが多いため、医療機関と相談しながら、根気強く取り組むことが大切です。

 

まとめ:「頭痛」とうまく付き合うために

新型コロナウイルス感染症罹患後の頭痛は、多くの方にとって悩ましい症状の一つです。その特徴や対処法を理解することで、より効果的に管理することができます。重要なポイントをまとめると

  1. コロナ後の頭痛は、従来の頭痛とは異なる特徴を持つことがあります。
  2. 40歳代前半の女性や片頭痛の既往がある人はリスクが高い傾向にあります。
  3. 診断は症状の経過や特徴、他の症状の有無などから総合的に判断されます。
  4. 予防には、ワクチン接種や健康的な生活習慣の維持が重要です。
  5. 2週間以上持続する頭痛や日常生活に支障をきたす痛みがある場合は受診を検討しましょう。
  6. 治療は対症療法が基本で、薬物療法と非薬物療法を組み合わせたアプローチが取られます。

最後に、コロナ後の頭痛で悩んでいる方は、一人で抱え込まずに医療機関に相談することをおすすめします。適切な診断と治療により、多くの場合、症状の改善が期待できます。皆様の健康と幸せを心よりお祈りしております。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME