院長ブログ:季節の変わり目に多い起立性調節障害
春が近づいてきて、気圧や気温、湿度の変化が大きい時期ですが、皆様体調を崩されていないでしょうか。季節の変わり目は体調管理が難しい時期でもあります。
起立性調節障害という病気が体調不良の要因になることがありますのでご紹介します。
思春期に多い病気ですが、子供の頃の症状が大人になって再燃したり、大人になり初めて症状がみられることもあります。
起立性調節障害の症状
自律神経系は、交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで生命維持機能が調整されていますが、ストレスや気候など、他の何らかの原因で交感神経と副交感神経のバランスが崩れることがあります。小児心身医学会ガイドラインでは以下11項目のうち、3項目以上認めると起立性調節障害の可能性が高く、2項目が該当していても症状が強ければ精査を行うことを勧められています。
1. 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい 2. 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる 3. 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる 4. 少し動くと動悸あるいは息切れがする 5. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い 6. 顔色が青白い 7. 食欲不振 8. 臍疝痛(おへその周りの強い痛み)をときどき訴える 9. 倦怠あるいは疲れやすい 10. 頭痛 |
大人でも基本的に症状は同じですので、当てはまる項目がいくつあるか確認してみてください。
起立性調節障害の原因
起立性調節障害は自律神経の調整不良のほか、副交感神経の働きを強めることや体を循環する血液量を低下させることで症状を助長し、悪化させます。主には以下のような原因があることが多いです。
自律神経の調整不良
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副交感神経の増強
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循環血液量の低下
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また、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症などのウイルス感染後に発症するケースもあります。
起立性調節障害の検査
起立性調節障害の診断には以下のような方法が用いられます。
- 症状の詳細な聴取
- 血圧・脈拍の測定(安静時と立ち上がった際の比較)
- 血液検査
- 心電図
- 検尿
- 頭部MRIなどの画像検査(必要に応じて)
起立性調節障害の治療
起立性調節障害の治療法には生活習慣の改善とお薬を使用する方法があります。一般的には軽症であれば、最初に生活習慣の指導を行い、改善がなめればお薬の併用、重症であれば生活習慣の指導と同時にお薬での治療を開始することが多いです。
- 生活習慣の改善(水分補給、塩分摂取の増加、適度な運動)
- 薬物療法(血圧を上げる薬、自律神経を調整する薬、漢方薬など)
まとめ
起立性調節障害は早期の診断と適切な治療が重要です。また、起立性調節障害だと思っていても、背景に別の疾患が隠れている可能性もあるため、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。
当院でもたくさんの方が治療を希望して受診されています。先日は「どこに行けばいのかわからなかったからまず脳神経内科に来た」とお話して下さった方もいらっしゃいました。みなさまも気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。