院長ブログ:マイコプラズマ肺炎が8年ぶりに増加中
今回は、最近患者さんが増えているマイコプラズマ肺炎についてお話ししたいと思います。
マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌の一種による肺炎です。学童期から青年期にかけて多く発症し、家族内や学校、職場などでの集団感染が起こりやすいのが特徴です。今年に入ってから、全国的にマイコプラズマ肺炎の患者数が増加傾向にあり、国立感染症研究所の2024年第31週(7月29日~8月4日)の感染症発生動向調査週報の速報データによると、この週のマイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数は0.88となり、前週の0.78と比較して12.8%の増加が見られました。日本ではマイコプラズマ肺炎は従来4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返しており、2020年は新型コロナウイルスの影響で流行がありませんでしたが今年2024年は、8年ぶりの流行の兆しが確認されています。
マイコプラズマ肺炎の症状
マイコプラズマ肺炎の初期症状は、風邪に似ています。発熱、咳、喉の痛みなどが代表的な症状で、次第に咳が激しくなり、痰が出るようになります。咳は夜間に悪化することが多く、睡眠を妨げることもあります。他にも頭痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。症状は徐々に進行し、適切な治療を行わないと肺炎が重症化する恐れがあります。
マイコプラズマ肺炎の診断
マイコプラズマ肺炎を疑う場合、胸部X線検査や血液検査を行います。胸部X線では、肺炎に特徴的な陰影が確認できます。血液検査では、白血球数の増加や炎症反応の上昇がみられます。
診断には、喀痰や咽頭ぬぐい液を用いた抗原検査を行います。マイコプラズマの抗体価を測定する血清検査も行われることもあります。
マイコプラズマ肺炎の治療
マイコプラズマ肺炎の治療には、抗菌薬が用いられます。マクロライド系やテトラサイクリン系の抗菌薬が有効とされており、症状に応じて適切な薬剤が選択されます。治療期間は、症状の改善状況によって異なりますが、通常は1~2週間程度です。安静と十分な休養も大切で、体力の回復を図ることが重要です。合併症として、気管支喘息の悪化や中耳炎、髄膜炎などを起こすことがあるため、注意深い経過観察が必要です。
受診のタイミング
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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特に、高齢者や基礎疾患のある方、妊婦の方は重症化のリスクが高いため、症状が軽くても早期の受診が大切です。
まとめ
マイコプラズマ肺炎は、8年ぶりに感染数が高水準で推移している感染症です。風邪に似た症状から始まり、次第に肺炎へと進行します。予防には、手洗いやマスクの着用、換気の徹底などの一般的な感染対策が有効です。集団生活を送る場面では、体調管理に気を付け、感染拡大の防止に努めましょう。
うめもとクリニックでは新型コロナウイルス感染症の診断治療と同時にマイコプラズマ感染症も検査を行っております。気になる方はご相談ください。発熱外来は定期通院の患者様と分けてご案内しておりますので、受診前にお電話でご連絡ください。