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院長ブログ:頭痛がないときにも?

[2024.05.18]
頭痛がないときにも片頭痛は生活に影響を及ぼしていることをご存じですか?

片頭痛は時々激しい頭痛に襲われるだけでなく、発作間欠期(頭痛がない時)にも、さまざまな生活障害が潜んでいることをご存知でしょうか。頭痛のない時でも、次はいつ発作が起きるかわからないという不安から、外出を控えたり活動を制限してしまう方も多いのが実情です。頭痛との付き合い方に悩み、無力感に襲われることもあるでしょう。実は、片頭痛患者さんの75%が、このような「発作間欠期の生活障害」を抱えているというデータがあります。発作時と同程度に深刻な問題なのです。当院では、このような発作間欠期の生活障害にも着目し、発作時の痛みへの対処だけでなく、総合的な治療・支援を行っております。

 

 

 

片頭痛のしくみ

片頭痛発作がない時の頭痛の影響を説明するために、片頭痛のしくみを簡単にご説明します。完全には解明されていませんが、発作の始まりは、脳の特定部位での興奮の異常から始まります。この興奮が次第に近隣の脳領域へと広がり、やがて頭痛を生じさせるのです。遺伝的要因と環境的要因が複合的に関与し、更には女性ホルモンの変動なども一因とされています。異常興奮時には脳の血流そのものも変化し、一時的な虚血状態になることも知られています。このメカニズムが、しびれや視覚症状などの一過性の症状の原因になっているのだろうと考えられています。

異常興奮した後は脳が通常の活動レベルに戻るまでに時間がかかります。回復過程では、倦怠感や集中力の低下などの症状が残ることもあります。このように片頭痛は単なる頭の痛みではなく、脳の一部が一時的に異常な興奮状態になり、そこから様々な症状が引き起こされる、まさに「脳の病気」と私たちは捉えています。

 

発作間欠期の生活障害を可視化する「MIBS-4」

発作間欠期の生活障害の程度を客観的に評価するための尺度が「MIBS-4」です。以下の4項目について、支障の度合いを0~4で回答していただきます。

①頭痛がない時に、片頭痛が仕事や学校に影響を与えたか
②次の発作が心配で、人付き合いやレジャーを控えたか
③頭痛がない時にも、片頭痛が生活に影響を与えたか
④頭痛がない時に、片頭痛のために無力感を感じたか

合計スコアが高いほど、発作間欠期の生活障害が大きいと判断されます。当院では定期的にこの尺度を使い、皆さまの状況をきめ細かく把握し、適切な治療を提案してまいります。

 

発作間欠期の生活障害を改善する最新治療

片頭痛の原因である異常興奮にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が関わっていることが最近明らかになりました。このCGRPの働きをブロックするのがCGRP阻害薬という治療薬です。そして、最近CGRP阻害薬の一部の製品で発作間欠期の生活障害改善にも高い効果が期待できることが明らかになりました。頭痛発作だかではなく、包括的に日常生活の質を高める可能性が示唆されています。

 

 

片頭痛は「治療できる」脳の病気です

冒頭でお話したように、頭痛は痛みの問題だけではなく、日常生活に多大な支障をきたす脳の病気なのです。対症療法に頼らず、根本原因に着目した治療を行うことが何より重要です。適切な生活習慣の見直しや、頭痛発作の引き金となる要因の排除なども必要不可欠です。発作時も発作間欠期も、あらゆる側面から包括的に支援し、「片頭痛からの卒業」を全力でサポートいたします。

発作の有無に関わらず、日常生活で感じる大小の不便や障害を、ぜひお聞かせください。最新治療と専門的見地から、一人ひとりに合った最適な治療プランをご提案いたします。いつでもお気軽に相談くださいませ。

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