院長ブログ「脳の生活習慣病」
皆様こんにちは。
前回はリハビリテーションスタッフの募集についてお話をさせて頂きました。
おかげさまで沢山のご応募を頂きました。
現在、当院に集まって下さったスタッフは
自信をもってご紹介できる方々ばかりです。
私自身も一緒に仕事できる日を今から楽しみにしておりますので
皆様もどうぞご期待下さい!
さて、今回は内科や脳神経内科に関連の深いお話を…ということで、
脳の生活習慣病のお話をさせて頂きます。
(少し長いですが、お付き合い下さい!)
脳の生活習慣病と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか?
その答えは認知症なのですが、皆様の想像通りでしたでしょうか?
<高齢化と認知症>
高齢化とともに、認知症の患者様も増えており、
2025年には高齢高齢者の20%を認知症の患者様が締め、
その総数は約700万人になるとされています。
おおよそ5人に1人度が認知症の時代がすぐそこにきています。
もう認知症が珍しくない時代になっていますが、
「その方らしさ」を維持するため、認知症の発症を予防し、
認知症になったとしてもできる限り進行させないことが大切になります。
<認知症の種類>
認知症の話をする前に1点だけ補足させて頂きます。
認知症にはさまざまな種類があり、
細かいものも含めると実は100種類を超えると言われています。
代表的なものは「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」
「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」になりますが、
特にその半分以上をアルツハイマー型認知症が占めます。
次に多いのは脳血管性認知症とされていますが、
認知症は複数の種類を合併することも多く、
高齢のアルツハイマー型認知症と診断される方の多くは
脳血管性認知症を合併しているとされています。
<生活習慣病が認知症のリスクとなるわけ①>
多くの研究で高血圧症、高脂血症、糖尿病等と認知症は
相互に影響し合っていることが報告されています。
これはどのようなメカニズムなのでしょうか?
ひとつめは、生活習慣病を治療せずに放置すると動脈硬化の進展が早まり、
脳血管の動脈硬化が進むと脳の循環不全や脳梗塞、脳出血を引き起こします。
この脳血管の動脈硬化が元になる認知症を脳血管性認知症と呼び、
生活習慣病と関連が深いというわけです。
<生活習慣病が認知症のリスクとなるわけ②>
ふたつめは、アルツハイマー型認知症では脳の中に
βアミロイド蛋白という異常な蛋白が蓄積することが
発症に関連していると考えられてます。
βアミロイド蛋白は認知症の症状のない、
40代から脳の中に存在し徐々に増えていくと考えられています。
高血圧症や糖尿病などの生活習慣病があると、
脳血管への酸化ストレスなどからβアミロイド蛋白の蓄積を促し、
アルツハイマー型認知症の発症を早めるとされています。
認知症は実は40代から始まっており、
早くから生活習慣病の管理、食事や運動、
睡眠の習慣を見直すことが認知症の発症リスクを下げることに繋がります。
<生活習慣病からみた認知症の治療>
最近、認知症の治療薬「レカネマブ」が
日本でも承認申請を行われたことがニュースとなりました。
レカネマブはβアミロイド蛋白を除去する働きがあるとされています。
こうような認知症の病気そのものに働きかける薬の他に、
一般内科で使用されるお薬にも
認知症に一定の効果がある薬があることをご存じでしょうか?
例えば、ある降圧薬やコレステロールの合成を阻害させる薬には、
認知機能の維持や改善に有効な可能性が報告されています。
また、一方で高齢の認知症の患者様は
2~3種類の内科疾患を合併するとされているほか、
その症状からバランスのよい食習慣や運動習慣を維持しにくいことから、
高脂血症や糖尿病や高血圧、肥満などの管理が不十分になりやすくなります。
認知症の患者様にとっても、
必要な内科的治療を見極め認知とともに治療を行うことも重要なのです。
<当院が出来る認知症患者様のサポート(専門医として)>
上記を踏まえて
総合内科、脳神経内科、リハビリテーション科、認知症の専門医として
当院が認知症の患者様やご家族のお役に立てることは、
・治せる認知症を見逃さず、相応しい診断が行えること
(今年中にCT検査が出来るように準備しています)
・一般内科疾患も認知症診療と一緒に対応できること
・運動療法の提案や社会資源の活用など「その人らしい生活」の応援ができること
(今年8月、10月に介護事業を開始予定です)
・通院が困難となっても訪問診療で対応できること
(現在ご希望が多いため、当院かかりつけの患者様が優先となります)
があります。
認知症であってもなくても、
地域の皆様が安心して暮らせるように
当院もレベルアップを重ねていきたいと考えています。
<おわりに>
当院は脳の健康維持のためにも生活習慣病の診療に力をいれています。
血液検査で、
心臓・糖代謝・脂質などに関するスコアをもとにリスク評価を行い、
100点満点で点数化して改善に向けて
特に取り組むべき行動を提案する「マイナイチンゲール」
同じく血液検査で
脳内に認知症の原因となる物質が蓄積されやすいかどうかを調べる
「MCIスクリーニング検査プラス」
を行っています。
自費での検査になりますが、ご自身と家族のために今の状態を見直し、
改善するきっかけとして受けて頂けるようにご準備致しました。
ちなみにマイナイチンゲールは本日スタッフ2名も実施予定です!!!
今日は長くなりましたので、それぞれの検査の詳細や費用については
近日中にこちらのブログにUPさせて頂きます。
ご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
山下 泰治