院長ブログ「脳卒中のリハビリテーション」
最近、来院された患者様から脳卒中のリハビリテーションについてお問い合わせを頂きました。最近のブログでもリハビリテーションに関する投稿が増えており、今回は脳のリハビリテーションについて紹介させて頂きます!
脳卒中とは
脳卒中とは脳血管が閉塞したり破綻することによって、脳血流が一時的または永続的に遮断され脳の損傷をおこした病気の総称です。皆様も聞いたことのある脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの総称です。脳卒中の原因としては、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病などの生活習慣病や、遺伝的な要素が関与していることがあります。日本で介護が必要になる原因で認知症に次いで多いのが脳卒中です。脳卒中の後遺症は、患者様毎に症状は異なり、手足の麻痺や言語障害、飲み込みの障害、記憶や注意機能等の障害(高次脳機能障害)などが様々な程度で混在していることがあります。生活習慣病の治療を行い予防することが重要ですが、残ってしまった後遺症の治療の主役はリハビリテーションです。
脳卒中のリハビリテーション
リハビリテーションは医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士などの専門家がチームを組んで患者様の個々の病態や生活の状況に応じた訓練や治療を行います。訓練としては、神経の再生を促す促通訓練や拘束訓練、歩行訓練、装具を用いた訓練、筋力増強訓練、バランス訓練、高次脳機能訓練、言語訓練、嚥下訓練様々なアプローチが開発されています。また、自宅で生活環境を整備するために、看護的な視点やケアを円滑に行う為にサービスや社会制度を活用することも重要です。通常、リハビリテーションは急性期病院に入院直後から開始され、退院するで行われることが多いですが、自宅退院した後はリハビリテーションが終了となってしまうことをよくあります。退院時は問題ないと考えられていても、退院後に生活環境が変わり身体機能や高次脳機能が低下することもまれではありません。
うめもとクリニックのリハビリテーション
うめもとクリニックでは、脳卒中の後遺症が残存した方向けに、訪問リハビリテーションとデイサービスを提供しています。訪問リハビリテーションは、療法士がご自宅にお伺いしてリハビリテーションを提供します。住み慣れた自宅でリハビリテーションを受けることができるため、心理的な負担も軽減されたり、生活環境に応じたリハビリテーションを受けることができます。また、脳のリハビリテーションに詳しい療法士と医師が連携して、最新の研究や技術を取り入れながら、患者さん様一人ひとりに合わせた個別のリハビリテーションを提供し、それぞれのご希望や目標に向けて最善のサポートを行います。 脳卒中患者さんやご家族の方々が安心して通えるクリニックでありたいという思いから、私たちは日々研鑽を積んでいます。
手は動くようになりますか?歩けるようになりますか?
重度の麻痺の場合、完全な回復が困難であることもありますが、回復する可能性が自宅退院後も残されていますので、ご相談ください。以前は脳の損傷すると、その後は変化しないと考えられていましたが、最近の研究によって脳は生涯を通じて変化し続けることが分かってきています。脳をうまく使うことで、新しい神経回路を形成したり、既存の神経回路を修復したりすることによって、学習や記憶、運動能力の向上など、様々な能力を再獲得することが分かっています。こうした脳が経験や学習によって変化し、適応する能力を脳の可塑性と呼ばれます。この脳の可塑性を最大限引き出す為に、適切な運動指導とモチベーションの維持に精通した療法士とリハビリテーション科医が必要です。
リハビリテーションは自宅退院後も行った方がよいですか?
自宅退院後も継続することが推奨されます。脳の可塑性でもお話した通り、発症から時間の経った退院後も適切なリハビリテーションによって改善する可能性があります。また、自宅退院後に何もしなくなってしまうと、廃用症候群という、使わないことに脳や体が適応ししまい。身体機能や高次脳機能が低下してしまうこともあります。退院後だからこそ、積極的にリハビリテーションを行い残った麻痺や高次脳機能障害に適応し、更に回復を目指す生活様式を構築することが必要です。