【院長ブログ】パーキンソン病の早期発見チェックリスト:初期症状を見極める5つのポイント
みなさま、こんにちは。今回は、多くの方から質問をいただいているパーキンソン病の早期発見について詳しくお話しします。パーキンソン病は65歳以上で発症することが多く、実は愛媛県内でも患者数が増加傾向にあります。「最近、手の震えが気になる」「動作が鈍くなった気がする」といった症状をお持ちの方は、ぜひ今回の記事を参考にしていただければと思います。パーキンソン病は早期発見・早期治療により、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することができる病気です。そのために重要なのが、初期症状を見逃さないことなのです。
パーキンソン病とは?知っておきたい基本知識
パーキンソン病は、脳の中でドパミンという神経伝達物質を作る細胞が減少することで起こる病気です。ドパミンは、私たちがスムーズに体を動かすために欠かせない物質で、これが不足すると様々な運動症状が現れます。日本でのパーキンソン病患者数は約16万人とされており、65歳以上の100人に1人の割合で発症するとされています。特に注目すべきは、1978年から2018年の40年間で患者数が50倍まで増えていることです。
パーキンソン病の原因は完全には解明されていませんが、加齢、遺伝的要因、環境的要因などが複合的に関与していると考えられています。患者さんの脳内では、レビー小体という異常なタンパク質の蓄積が観察されることが多く、これが神経細胞の損傷につながると考えられています。重要なのは、パーキンソン病は進行性の病気ですが、適切な治療により症状をコントロールし、長期間にわたって良好な生活の質を維持できることです。現在では、薬物療法、リハビリテーション、場合によっては手術療法などの選択肢があり、早期に治療を開始することで、より良い効果が期待できます。
見逃してはいけない4大症状をチェック
パーキンソン病には4つの代表的な症状があり、これらを「4大症状」と呼んでいます。これらの症状は左右で程度に差があることが特徴的で、最初は片側から始まることが多いとされています。
まず「振戦(しんせん)」、つまり手足の震えです。特に安静時、座って何もしていない時や寝ている時に手足が小刻みに震えます。親指と人差し指を擦り合わせるような動きが特徴的で、「丸薬丸め様振戦」と呼ばれます。動いたり何かしようとする時には震えが止まることが多いのが特徴です。次に「筋固縮(きんこしゅく)」、つまり筋肉のこわばりです。筋肉が硬くなり、身体がスムーズに動かなくなります。歯車のような規則的な動きになる「歯車現象」や、継続的にこわばりが続く「鉛管現象」があります。
三つ目は「無動・寡動(むどう・かどう)」、つまり動きが鈍くなることです。素早い動作ができなくなり、動きが小さくなります。歩いている時にほとんど手を振らなくなったり、一度にいくつもの動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなったりします。最後に「姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)」です。立っている時に軽く押されるとバランスを崩してしまい、元に戻しづらくなります。これは病気が進行すると出てくる症状で、転倒のリスクが高まります。これらの症状に一つでも心当たりがある場合は、神経内科の受診をお勧めします。
早期発見のためのセルフチェックリスト
以下のチェックリストで、ご自身やご家族の症状を確認してみてください。3つ以上当てはまる場合は、パーキンソン病の可能性があるため、専門医への相談をお勧めします。
運動に関する症状
・安静時に手足が震える ・筋肉が硬くなり関節の動きが悪くなった ・動作が遅くなり動き出しにくくなった ・バランスが悪くなり転びやすくなった ・歩く時に腕を振らな ・歩幅が小さくなったと家族に言われた ・字が小さく汚くなった ・ボタンかけや小銭の出し入れがしづらくなった |
日常生活に関する症状
・PCのキーボードやマウスが使いづらくなった ・洗髪動作や歯みがき、調理の時のかき混ぜ動作がしづらくなった ・小声でぼそぼそしゃべるようになった ・表情が乏しくなったと言われた |
これらの症状は、パーキンソン病の典型的な運動症状に関連するものです。ただし、これらの症状が他の病気でも見られることがあるため、症状があるからといって必ずしもパーキンソン病とは限りません。重要なのは、複数の症状が組み合わさって現れることです。気になる症状がある場合は、一人で悩まずに、まずは当院のような脳神経内科の専門医にご相談ください。
疑わしい症状があったら:専門医への受診タイミング
パーキンソン病が疑われる症状がある場合、適切なタイミングで専門医を受診することが重要です。早期診断・早期治療により、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することができるからです。
パーキンソン病の診断は、神経内科の専門医が行います。診断は主に問診と診察を中心に行われますが、他の病気との鑑別のために、MRI脳画像検査、MIBG心筋シンチグラフィ、ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DATスキャン)、嗅覚検査などの検査を行うこともあります。受診の際は、症状がいつから始まったか、どのように変化してきたか、現在服用している薬、家族歴などを詳しく聞かれますので、事前にメモしておくとよいでしょう。
当院では、脳神経内科専門医として、パーキンソン病の診断から治療まで幅広く対応しています。症状が気になる方は、お気軽にご相談ください。早期発見により、より良い治療効果が期待できます。2024年には、進行期パーキンソン病に対する新しい治療薬も承認されており、治療選択肢は広がっています。一人で悩まず、専門医とともに適切な治療を行っていきましょう。
まとめ:早期発見で変わるパーキンソン病との向き合い方
パーキンソン病は、早期発見・早期治療により症状の進行を遅らせ、長期にわたって良好な生活の質を維持できる病気です。パーキンソン病の治療は、薬物療法、リハビリテーション、生活指導などを組み合わせて行われ、患者さん一人ひとりの症状に合わせた個別化治療が重要です。何か気になる症状がございましたら、うめもとクリニックまでお気軽にご相談ください。