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院長ブログ「多汗症」

[2023.08.06]

高温多湿の日々が続いておりますが、
皆様体調はお変わりありませんか?
暑い日が多くなり、また旅行などお出かける機会が増え、
悩まれる方も多い多汗症の治療について
今日はご紹介させて頂きます。

脳神経内科と発汗

意外と思われるかもしれませんが、
発汗は交感神経という自律神経が関与するため、
脳神経内科でも診療する領域です。

脳神経内科は全身にある、あらゆる神経を通して
病気の存在を考えておりますので、
どんな症状でもまずはお伺いして、
適切な診療科に紹介するのも大切な仕事のひとつです。

多汗症

多汗症は、緊張や運動などによらず大量に汗をかいて
日常生活に支障をきたす状態で、
交感神経が異常に興奮して
汗腺を刺激することが原因と考えられています。
この交感神経の興奮の伝達に
アセチルコリンという物質が大切な役割を果たしています。
多くは原因がはっきりしない「原発性」ですが、
心臓や肺の病気、感染症、甲状腺機能亢進症、
糖尿病のほかパーキンソン病、多発性硬化症、脳梗塞や脳出血、
脊髄障害などが隠れていることがあるので、
まずは一度、内科的に基礎疾患がないか
ご相談をされることをお勧めします。

原発性局所多汗症

特に原因がなく、小児期からあり、
左右対称性で手のひら、足のうらや脇という限局した部位から
過剰な発汗を認めるものを原発性局所多汗症と診断され、
全人口の5%程度と意外に多い疾患です。

汗のせいで日常生活や服装の自由が制限される、
周囲の目が気になってしまうなど
患者さまにとって大きな負担となっており、
二次的にうつ病などを併発することもあります。

一部の多汗症は遺伝性も疑われていますが、
十分な特定には至っていません。

原発性局所多汗症の治療(抗コリン外用薬)

治療は外用、内服薬、注射、手術などありますが
まず手軽に開始できる外用薬(塗り薬)がお勧めです。

抗コリン外用薬は、アセチルコリンという
交感神経の神経伝達物質をブロックすることで
汗腺からの発汗を抑える働きがあります。
発汗の多い部分に塗るだけなので簡便に使用できます。

アポハイドローション

上記ローションが2023年6月1日より処方可能となりました。

原発性手掌多汗症(手汗)に適応のあるお薬です。

寝る前に両方の手のひらに5プッシュして就寝します。
両手に薬剤がついているため、
寝ている間に目をこすらないように注意しましょう。
発売されて間もないお薬ですので、
来年6月までは処方できる期間が2週間という制限があります。

ラピフォートワイプ

 

2022年5月に処方可能になりました。
こちらは処方の制限はございません。

ワイプ型の原発性腋窩多汗症(わき汗)の治療剤で、
不織布に薬剤を染みこませており、
1日1回朝出かける前などに脇の下に塗ります。
使い切り型ですので衛生的です。

まとめ

最後に抗コリン外用約の特徴と注意点をまとめます。

特徴
・保険適応で効果も市販薬より高い効果
・汗の多い部分に塗るだけで簡単
・1日または1週間使い切りで衛生的

 

注意点
・効果には個人差がある
・目に入るとまぶしさを感じる(効果がなくなると戻ります)
・緑内障の方には使用不可

実は身近な多汗症。

昔から気になっている方、
治療した方がよいか聞いてみたい方、
お気軽にご相談ください!

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