院長ブログ:現在猛威をふるうインフルエンザA(pdm09型)の特徴と対策について解説
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。年明けから年末年始にご家族間や旅行中にインフルエンザAに感染された患者様が受診されています。多くの患者様が受診されおり、スタッフ全員が力をあわせて診療に当たってくれておりますが、やむを得ず受付を早期に終了する状況となっております。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。現在猛威をふるうインフルエンザウイルスの殆どが「pdm09型」と呼ばれるものですが、今回は、このウイルスの特徴と対策について、詳しく解説させていただきます。
pdm09型の歴史
pdm09型は、2009年に世界的大流行(パンデミック)を引き起こしたウイルスです。当時は「新型インフルエンザH1N1型」と呼ばれ、70カ国以上に感染が拡大しました。この名称の由来は、2009年に発生したことを示す「09」と、パンデミック(pandemic)の「pdm」を組み合わせたものです。当初は「豚インフルエンザ」として報告されましたが、実際にはブタ、トリ、ヒトのインフルエンザウイルスが遺伝学的に混合した新しいタイプのウイルスでした。
感染力の特徴
現在流行しているpdm09型の最大の特徴は、その強い感染力です。一人が感染すると家族全員に感染が広がるほどの強い伝播力を持っています。感染経路は主に3つあり、空中の飛沫、人と人との接触、そしてインフルエンザウイルスに汚染された物との接触によって広がります。
臨床症状の特徴
pdm09型の症状は、通常の季節性インフルエンザと似ていますが、いくつかの特徴的な点があります。発症初期には、突然の高熱、激しい頭痛、全身の筋肉痛が現れ、特に目の奥の痛みを伴う頭痛が特徴的です。その後、感染が肺の手前あたりまで広がっていくと、痰の量が増加し、咳が悪化し、重症例では呼吸困難感が出現することもあります。また、このウイルスの特徴として、消化器症状を伴うことが多いことも挙げられます。特に小児では、顕著な悪心、嘔吐、腹痛などの症状が現れることがあります。また、このブログでも過去に報告したマイコプラズマ感染症との同時感染にも留意が必要です。
最新の研究知見
最近の研究では、COVID-19パンデミック期間中、インフルエンザの流行が抑制されていたため、特に小児において「免疫ギャップ」が生じていることが報告されています。これは、過去数年間のインフルエンザ接触機会の減少により、インフルエンザに対する免疫力が低下しており、今回の大流行をきたした可能性を示唆しています。
予防と対策
予防対策として、最も重要なのはワクチン接種です。特に、免疫ギャップが生じている可能性がある小児や、重症化リスクの高い方々は、積極的なワクチン接種をお勧めします。まだインフルエンザに罹患していない場合は今からでもインフルエンザワクチンの接種を検討ください。当院でも若干数ですがインフルエンザワクチン接種を受け付けております。また、日常的な予防対策として、マスク、手洗い、人混みを避けるなどの基本的な感染対策を徹底することが重要です。
まとめ
現在のインフルエンザA(pdm09型)、その強い感染力と特徴的な症状から、特に注意が必要です。当院では、インフルエンザを始めとした感染症の診療体制を整え、できる限り待ち時間を短縮できるよう努めておりますが、12月から爆発的な感染が継続しており、1日1日の状況によって、受付時間や待ち時間が変動しております。変動的な診療体制でご迷惑をおかけして大変恐縮ですが、まずは電話でお問い合わせをお願いします。皆様のご協力を何卒お願い申し上げます。