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院長ブログ:認知症予防の最新知見 - 発症リスクを半減できる方法-

[2024.08.25]

皆様こんにちは。今回は、認知症の予防についてお話しします。最近、認知症予防に関する大規模な研究結果が発表されました。その内容は、私たち医療従事者にとっても、また一般の方々にとっても、大変興味深いものでしたので紹介致します。

生活習慣の改善で認知症リスクを45%も低減できる可能性

世界で最も評価が高い医学雑誌のひとつであるランセット誌に掲載された最新の研究によると、14の生活習慣関連因子を改善することで、認知症の発症リスクを最大45%も低減できる可能性があることがわかりました。これらの14因子には以下の通りです。

  • 教育
  • 聴力低下
  • 高コレステロール血症
  • うつ病
  • 頭部外傷
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 肥満
  • 過度の飲酒
  • 社会的孤立
  • 大気汚染
  • 未治療の視力低下

特筆すべきは、これらの因子の多くが日常生活で改善可能なことです。つまり、適切な生活習慣の改善や医療介入によって、認知症のリスクを大幅に下げられる可能性があるのです。

 

予防のための具体的な取り組み

では、具体的にどのような取り組みが効果的なのでしょうか。研究結果から、以下のような対策が推奨されています

  • 生涯学習を心がける
  • 聴力低下に対しては早めに補聴器を使用する
  • うつ病の早期発見と適切な治療
  • スポーツ時のヘルメット着用など、頭部外傷予防対策を講じる
  • 定期的な運動習慣を身につける
  • 禁煙する
  • 高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の適切な管理
  • 健康的な体重を維持する
  • 過度の飲酒を控える
  • 社会活動に積極的に参加し、人とのつながりを大切にする
  • 大気汚染の少ない環境で生活する
  • 視力低下に対しては早めに眼科受診し、適切な治療を受ける

これらの対策は一見当たり前に見えるかもしれませんが、意識的に実践することで認知症のリスクを大幅に下げられる可能性があります。

 

症状からみた受診のタイミング

認知症の予防と同時に、早期発見・早期治療も重要です。以下のような症状が見られたら、専門医への受診をお勧めします

  • 最近の出来事を忘れやすくなった
  • 同じことを何度も聞いたり、話したりする
  • 約束の日時や場所を間違えることが増えた
  • 慣れた道で迷うことがあった
  • 物の置き場所がわからなくなることが増えた
  • 複雑な作業や計算が苦手になった
  • 性格が変わったように感じる(怒りっぽくなった、無関心になったなど)

これらの症状が頻繁に起こるようであれば、できるだけ早く専門医の診察を受けることをお勧めします。

 

まとめ

認知症は、かつては「年をとれば仕方がない」と諦められがちな病気でした。しかし、この研究結果は、日々の生活のちょっとした工夫で認知症のリスクを大幅に下げられる可能性があることを示しています。日々の生活習慣を見直し、健康的な生活を心がけることが、認知症予防の第一歩となります。また、気になる症状があれば、早めに専門医に相談することも大切です。うめもとクリニックでは認知症の予防と早期発見に力を入れています。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

 

参考文献

Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024[Link]

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